「老後なんてまだ先のこと」「今の生活で精一杯」……。
28歳のあなたにとって、年金の話は少し遠い世界のことのように感じるかもしれません。
しかし、断言できるのは、「仕組みを知るだけで、正体不明の不安は消える」ということです。
20代のうちに年金の土台を理解し、投資とのバランスを考えることは、将来の自分への最大のプレゼントになります。今回は、年収400万円の会社員という視点で、日本の年金制度と賢い資産形成の考え方を紐解いていきましょう。
1. 【基礎編】日本の年金は「最強の2階建て」
日本の公的年金制度は、よく「2階建ての建物」に例えられます。
- 1階:国民年金(基礎年金) 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する土台です。
- 2階:厚生年金保険 会社員や公務員が、1階に上乗せして加入する仕組みです。
会社員であるあなたは、自動的にこの「2階建て」の仕組みに乗っています。さらに大きなメリットは、保険料の半分を会社が負担してくれているという点です。自営業の方(第1号被保険者)は全額自己負担ですが、あなたは実質的に「支払った額の2倍」の価値がある保障を得ているのです。
2. 【シミュレーション】年収400万円なら、将来いくらもらえる?
「実際にいくらもらえるのか」は最も気になるポイントでしょう。令和7年4月現在の最新データに基づく、40年間加入した場合の以下属性の受給額目安は以下の通りです。
- 年収400万円
- 学生時代は学生納付特例を使用(大学院卒のため4年間)
将来もらえる年金の月額目安
- 1階:老齢基礎年金(満額):約 62,377円
(=831,700円×36年÷40年÷12ヶ月) - 2階:老齢厚生年金:約 73,080円
(=40年×400万円×0.005481÷12ヶ月 ※参考:https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/54622/) - 合計:月額 約 135,457円
年収400万円(ボーナス込み月換算約33万円)で働き続けた場合、将来は毎月約13万円強が一生涯受け取れる計算になります。
「長生きリスク」に対する公的年金の優秀さ
公的年金の最大の強みは、「終身(死ぬまで)」受け取れるという点です。 民間保険や貯金は底を突くリスクがありますが、公的年金は「長生きすればするほど得をする」生存保険としての機能を持っています。これは、どんなに優れた投資商品でも代替できない「究極の安心材料」と言えます。
3. 【比較検討】「学生納付特例の追納」vs「投資」
ここで、大学院卒のあなたが直面する「賢い選択」について考えましょう。学生時代(20〜24歳)に利用した「学生納付特例制度」の未払い分を「追納」するか、その資金を「投資」に回すか、という悩みです。
筆者のの場合、ねんきんネット(URL:https://www.nenkin.go.jp/n_net/)で確認すると、820,600円(49ヶ月分)が追納可能額でした。年金は65歳より受け取り可能、厚生労働省調べ(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1043.html)より平均寿命を82歳として以下条件で比較検討します。
①追納:未払い分を全額追納し、65歳から82歳までの18年間を受給する
②投資:65歳までの38年間、年率3%の投資に回す
① 「追納」はリスクゼロの確定利回り
合計:約 1,528,248円
(=831,700円×49ヶ月÷40年(480ヶ月)×18年)
- 1年間分を追納すると、老後の年金が一生涯年間で約2万円(月額約1,600円)増えます。5年分なら年間約10万円の増額です。
- 追納した保険料は全額が「社会保険料控除」の対象となり、今年の所得税・住民税が安くなります。
- 追納ができるのは、承認を受けた月から10年以内に限られます。現在28歳のあなたにとって、20歳当時の分は期限が迫っています。
② 「NISA(オルカン)」は世界成長への期待
合計:約 2,521,322円
(※アセットマネジメントOneの資産運用かんたんシミュレーションで計算:https://www.am-one.co.jp/shisankeisei/simulation.html)
- 全世界株式(オルカン)などの期待リターンは年率4〜7%程度と言われており、30年以上の長期運用ができる28歳なら、複利効果で大きく資産を増やせる可能性があります。
- あくまで投資のため、損することもあります。
- 年金と違い、必要になったらいつでも売却して現金化できる流動性の高さがあります。
確実な追納か、リスクを取る投資か
追納:約 1,528,248円 < 投資:約 2,521,322円
993,074円だけ投資に回した場合が合計金額が大きくなりました。
- 「追納」を優先すべき人: リスクを嫌い、将来の「確実な現金(キャッシュフロー)」を増やしたい人。特に、10年の期限が迫っている古い分(20歳や21歳当時の分)は、今しか買えない「利回り確定の商品」と捉えて優先する価値があります。
- 「NISA」を優先すべき人: リスクを取ってでも、30年後の大きな資産形成を目指したい人。また、結婚や住宅購入など、老後以外にお金を使う予定がある人。
4. 結論・今日からできるアクション
年金は老後の「守り」、投資は資産を増やす「攻め」です。どちらが正解ということはありませんが、**「公的年金という盤石な1階・2階があるからこそ、安心して3階部分(NISA等)でリスクが取れる」**という構造を忘れないでください。
今すぐできる2つのアクション
- 「ねんきんネット」で現在地を確認する マイナポータルから連携すれば、1分で「追納可能な金額」と「将来の見込額」がわかります。まずは自分の正確な数字を知りましょう。
- 追納期限をチェックする 10年を過ぎると、二度と将来の年金を増やすことはできません。特に20歳当時の分がまだの方は、最優先で検討してください。
28歳の今の選択が、30年後のあなたを笑顔にします。まずは「ねんきんネット」のログインから、あなたの未来をデザインし始めましょう!
※本記事の数値や制度内容は、令和7年4月現在の日本年金機構の資料に基づいています。

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